インプラント 大阪のしくみ
第1期体内で一つの細胞の発がんからがん塊へと次第に形態化していく長い潜伏期第U期形態的にがんとして確認される臨床的がんの初期(局所的)。
手術や放射線など標準的な根治術が適用される。
治療後、不幸にして遠からず再燃の告知を受ける患者も多数に上る第V期浸潤・転移によって著明な臨床症状が認められる進行がんの時期(全身的)。
患者は化学療法など再治療に希望を託す展開になっていく第W期やがて、原因療法不能、決定的に根治は望めないという厳しい事実に直面せざるをえない。
最終的にはターミナル・ケアの時期を迎えることになる章がんと「共存」するこうした市民社会向けの病期分類に基づくと、根治を目指す治療はあくまでもがんが局所に限定される第U期までという短い期間に限られること、その第U期で病態を停止させえない場合、第V期に最も効果的な治療とは何かという全体像が合わせて明確にされるべきだと考える。
いずれにせよ今後は、がんという持続的な社会病、慢性疾患においては、治療と日常生活が両立するような「共存」をしっかりと位置づけることが大切である。
たとえば私が医師として日常的に対応する消化管のがんを例にとれば、前述の第U期、第V期、第W期はそれぞれにおよそ二年(足らず)、一年(前後)、数十日ぐらいと大雑把に目安を立てることができるが、目下、再発から死までの闘病の経過はなくて末期医療として一括りにされることが圧倒的である。
がん治療とQOL今日のように高度技術によって生と死の人為的な操作が日常的となると、「生命の延長と、二QOLをめぐってそれに見合う生命の質」という概念が、医学上のキーワードにならざるをえない。
医学・医療の最大の目的である生命の延長(延命)に、新たにQOL(生命の質)という考え方が対置されるようになったのは、ほぼ三○年前の一九七五年、米国でのカレン・クインラン問題を噴矢とする。
長年、深い昏睡にある重症植物状態の女性患者について、生命維持装置(人工呼吸器)の除去を認めるとした歴史的な判決は、その後の医学の方向性に計り知れない影響を及ぼすことになったが、それまでの延命至上主義に対して初めてQOLに重きを置いた評価にその本質はあったといえる。
以後、時代とともに勢いを強める患者の権利重視の流れとあいまって、「どのような重症の状態でも、日々の生きる内容、生活そのものが優先的に評価されなければ意味がなどとするQOLの考え方は、「生活の質」なる意味を付加しつつ急速に支持を拡げてきた。
ある意味で生命の延長という目的がおおむねピークにも達しようとしている日本の高齢社会においては、機械的な「延命」至上に対して、QOLが医学のキーワードとして広範に受け入れられていくのは自然なことであろう。
当然、絶えず生と死を争うがんの治療においてもQOLは最大の焦点となっている。
嘗てがん治療も延命のみが唯一の基準で、体内からがんを取り除くために患者本人の消耗度を度外視したような手術・化学療法が一面的に推奨される時代が長く続いた。
がんの除去には成功したが、結果として患者は再起不能、死亡といった、本末転倒の治療法が大手を振って賊眉したのは隠れもない事実といえよう。
延命のみに固執する拡大手術(標準より切除範囲が広い術式)に対し次第に反省の声が高まって、最近は再発の危険性が多少高くなってさえ術後の機能を第一義的にと、リンパ節切除の範囲をできるだけ手控えるという縮小手術(標準より切除範囲が狭い術式)が評価されるようになっている。
直腸がんで排尿や性機能に関する自律神経を温存する手術法の確立や、さらに開腹を必要としない腹腔鏡下の手術が開発される方向である。
したがって今後、三世紀のがん治療を考える時、QOLは最たるテーマということに他ならないが、それでもなお患者にかかわるその面での評価は難しい。
なぜならQOLの内容としては肉体的な面だけではなく精神的な面での比重が大きく、あくまでも患者の主観面の評価に頼らざるをえないからである。
それゆえ五生率(生命の延長)とQOLのいずれを重視するかという場合、がんの治癒率、致命率が半ば鯵着する状態が続いている現在、簡単に答えが得られないようなケースが圧倒的である。
人工肛門の必然性最近、食生活の欧米化などに伴って大腸・直腸がんの急増が伝えられる。
それら下部消化管の悪性病変の手術では、特に直腸がんにおけるストーマ(人工肛門)設置の場合、いまなにかと話題になることが多いQOLを考えるのに格好のテーマであるかに思われる。
直腸がんの手術を頑強に拒否しようとしたAさん(四二歳の主婦)の例を反謡してみよう。
最初は「いやなものはいやだ」とか「たとえ死ぬようなことがあっても人工肛門はいやだ」、と言い張って手術に同意しようとしない彼女だったが、時間をかけて説得に努めているうちに少しずつ真意を語ってくれるようになった。
つまるところ術後の生活をあれこれ想定して家族たちと相談していくうちに、思いのほか彼女の夫が人工肛門という治療法に露骨な嫌悪感を示したらしい。
時を同じくしてたまたま米国の実情がレポートされている雑誌で、性生活の破綻が家庭生活の崩壊に結びつくとの記事を目にして、以後、「離婚」の二字がちらついて夜も眠れないほど悩み始めたという。
そのAさんに対する説得の際、「盲腸の部分から肱門の近くまで、排便にかかわる二メートル余りの大腸という腸管の中で、他の部分では人工肛門を必要としないのに、なぜ最後の腸管である直腸の場合のみ、それを必要とするのか」と、素朴だが激しい内容の疑問で食い下がられた当時のことが思い出される。
「それについては他の大腸に比して直腸の位置する場所の複雑さと機能を理解してもらわねばなりません」と直腸の解剖を図示しながら、ずいぶんと時間をかけて説明を加えた記憶がある。
解剖学的に直腸という器官は、硬い骨に囲まれた狭い骨盤という空間内に深く位置しているが、その直腸の下方に隣接する肛門が外部に開口して、日常的に大便を排出する作業を営んでいる。
他方で、がんの手術の基本はあくまでもがん細胞を取り残さないことであり、病巣の周囲を含めて安全な領域もある程度広く切除するのが原則になる。
繰り返すと直腸とは肛門に接続している一五センチほどの腸管だが、かりに肛門から一センチぐらいに近接した箇所に直腸がんが発生したらどうであろうか。
肛門も含めて患部を広範囲に切除しないと再発は必至と想定される。
そうした際、直腸や肛門の切除後、残された大腸の先(断)端を腹部に開口、そこから排世物を取り出して排便の機能を代替させるのが人工肛門の根本原理である。
腹部に穴を開けた開口部(外側)の皮唐側に袋状の器を取りつけて、そこに溜まった排世物の量に応じて、ふつう179第6章がんと「共存」する大腸がんの予後か、QOLかさて、直腸がんの手術では、人工肛門以外にも手術法や切除する範囲いかんによって排便、排尿の機能、あるいは性機能に障害が生じかねない場合があって、核心の予後か、術後のQOLかということをめぐって患者さん自身が重大な判断を迫られることも少なくない。
直腸は肛門と連携して高度な排便機能を司っている臓器である。
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